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バイメタル剣を測定してきました!

バイメタル剣(銅柄鉄剣)は、本年2月に成果の記者発表を行いましたが、調査は現在も継続しています。

去る10月4日から9日までの6日間、大型放射光施設SPring-8(兵庫県佐用町)でCT測定を行ってきました。
世界最大の出力を誇るSPring-8でなければ、直径2センチ以上ある銅製の柄の内部の鮮明な画像を得ることはできません。


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SPring-8の蓄積リング直径は1.5キロほどもありますから、外周を歩くと20分ほどもかかる、大型の施設です。


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精細なCT画像を得るため、1時間に0.8cmほどのデータをとるのやっと。
バイメタル剣の柄は長さ15〜18cm程度ありますから、剣1本にほぼ1日かかります。
このたびの実験では、バイメタル剣5本のCT測定が完了しました。



こうして得られたデータは、最新のソフトウェアで解析され、非破壊で製作技術の可視化が可能となります。貴重な文化財を傷つけることなく、3千年前の冶金術を再現することができます。


我々が調査の対象としているのは、不幸にして考古学的情報を喪失した博物館資料ですが、分析化学者との共同研究によってこれまで知られていなかった事実が次々に明らかとなってきています。



研究の成果は、学会報告だけでなく、市民のみなさんにもわかりやすく還元していこうと思っています。


RS


by Okayama_Orienta | 2017-10-16 17:31